
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に止まる状態を繰り返す疾患で、10秒以上の無呼吸が一晩(約7時間)に30回以上、または1時間あたり5回以上みられる場合に疑われます。
呼吸が止まることで体内の酸素が不足し、眠りが浅くなったり、無意識のうちに何度も目が覚めてしまうことがあります。さらに、この状態が続くと体への負担が大きくなり、高血圧や糖尿病、メタボリックシンドローム、脳卒中や心疾患などのリスクを高めるとされています。
日本呼吸器学会によると成人の約3〜7%が該当するといわれていますが、睡眠中に起こるため自覚しにくく、気づかないまま放置してしまうケースも少なくありません。少しでも気になる症状がある場合は、お早めにご相談ください。
こんな症状の方は要注意!

睡眠時無呼吸症候群の方は、就寝中に口呼吸になっているケースが多く見られます。口呼吸が続くとお口の中が乾燥し、唾液の分泌量が低下します。唾液が減ることでむし歯菌が増えやすくなり、むし歯のリスクが高まります。さらに、口腔内の乾燥は口臭や歯ぐきの腫れ、歯周病など、さまざまなトラブルの原因にもなります。
お口の健康を保つために、歯科医院での定期的なクリーニング(歯垢・歯石の除去)を受けることをおすすめしています。

無呼吸や低呼吸の状態が続くと、血中の酸素濃度が低下し、心臓に大きな負担がかかります。その結果、脳血管疾患などを引き起こすリスクが高まります。
睡眠時無呼吸症候群に関連する主な疾患リスクは、糖尿病で約2〜3倍、高血圧で約2倍、狭心症・心筋梗塞などの心疾患で約3倍、脳血管疾患では約4倍に上昇するといわれています。
このように全身へさまざまな影響を及ぼすため、早期の対策と適切な管理が重要です。
睡眠時無呼吸症候群は、主に以下のような要因によって引き起こされます。いずれも共通して、空気の通り道である「気道」を狭めてしまうことが関係しています。
肥満
顎の形状や
大きさ
鼻閉
(鼻の詰まり)
加齢
飲酒
睡眠薬などの
服用
患者様の現状を正確に把握するため、当院では気道の状態を見ることができるCTと睡眠時の呼吸の状態を確認できるウォッチパッドを用いて検査を行います。その上で患者様一人ひとりに適した治療方針を検討していきます。
当院の睡眠時無呼吸症候群の治療では、詰め物で新しく噛み合わせを作っていく「咬合再構築」と、気道の確保と呼吸のサポートをする「マウスピース治療」の2つの治療法を行っています。

噛み合わせそのものを整える「咬合再構築」を行っています。
具体的には、コンポジットレジン(歯科用プラスチック)を用いて、理想的な位置に噛み合わせを再構築していきます。「歯列弓」と呼ばれる、上から見た歯のアーチの高さや幅を適正に整えることで、舌の収まるスペースを確保し、睡眠中の気道が塞がるのを防ぎます。さらに、MFT(口腔筋機能療法)というお口周りのトレーニングを併用することで、舌の正しい位置を定着させ、根本的な症状の改善を目指します。

睡眠中に装着するマウスピース装置を使用します。特徴的なのは、最初から一つの装置を固定して使うのではなく、「シアトル法」という調整を行っていく点です。
形状の異なる仮のマウスピースを順次お作りし、実際に使用しながら患者様に合った適切な位置を探っていきます。これに加えて、舌を理想的な位置へ保持する「TRP法」を併用することで、舌の沈み込みを防ぎます。これらの装置により、寝ている間の気道を広げ、呼吸が円滑に行えるようサポートします。


気道が広がっており、
正常な呼吸が可能

舌や顎が後退し、
気道が塞がっている

マウスピースで気道を広げ
呼吸をしやすい状態に

睡眠時無呼吸症候群を放置すると、日中の生活にも影響が現れます。
特に運転中に症状が出ると、判断力が低下し事故につながる危険性があります。実際に睡眠時無呼吸症候群が原因と言われている交通事故が多数報告されています。このように、ご自身だけでなく周囲にも影響が及ぶ可能性があります。
適切な治療により改善が期待できるため、少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関へ相談することが大切です。